ごあいさつ
Greeting
ごあいさつ
産後ケア施設の開設を思い立ったきっかけは、私自身の出産経験です。23年前に長男を、20年前に長女を、17年前に次女を出産しました。
長男の産後は特に問題なく経過しましたが、長女の時は、ことごとく思い通りにはいきませんでした。切迫早産で入院。長男は泣く事も、駄々をこねることもなく待っていてくれて、周りの大人を感心させましたが、退院後、壁に1箇所だけマジックで落書きをしたのを見つけた時に(今でも消さずに残しています)、やはり我慢していたのだと心が痛かったです。
長女は37週で破水し、あっという間に生まれてくれました(母親学級で見ていただいている動画の時) が、「長男が気になる、2人目だしなんとかなる」と産後3日目で退院しました。なんとかなると思っていたので、里帰りも、母の手伝いも頼んでいませんでした。
ところが、長女は黄疸のせいか母乳を飲んでくれません。全身がむくんで体調も悪くしんどいのに、母乳はどんどん張って痛くなる。洗濯、食事、家事はこなせず、「こんなはずではなかった」と涙が溢れてくる。そんなこんなでクリニックに黄疸チェックで受診した時、「大変でしょう」と沐浴をしてくれたスタッフがいました。恥ずかしながら、一人では無理でした。誰かに助けてもらう安心感を初めて知りました。
頑張らない私のやり方。母乳をやめ、いわゆる完ミ、完全ミルクにして遠方の実家に里帰りしました。
次女のお産の時は前回の反省を踏まえて、実母・義母にフルに助けてもらいました。それでも長男・長女のお世話、保育園の送り迎えなどで忙しく、一人だけ写真やビデオの少ない次女には申し訳なく思っています。
それから10数年、産後ケアという言葉を知りました。あの時私に必要だったことはこれだったんだ!と思いました。同時に今かつての私と同じように大変な思いをされているお母さんを手助けしたいと思い立ち、このFamily Forestの立ち上げに至りました。私と同じように“お母さんたちに寄り添いたい”、その想いに共感して集まってくれたスタッフと共に皆さんの心が少しでも軽くなる、ほっとできる場所になればと願っています。
高橋産婦人科クリニック 師長 高橋恵子